義理両親の家の玄関は古い昔ながらの木製引き違い戸です。そして鍵をかける時は内側からネジ式の留め金を締めるので、外側からは開ける事ができません。なので出かけるには外から鍵をかけられる勝手口を使う以外方法がないという不便な造りになっています。
おまけに義父は加齢によりネジもまともに回せなくなってしまい宅配便が受け取れなかったり、デイサービスに出かけようにも出入りが楽な玄関が使えない事態となっていました。
そこで今回のDIYはこの木製の引き違い戸に、外・内両側から施錠、開錠ができるように後付けで引き違い戸錠を取り付けることにしました。
その前にまずは戸車の交換
鍵の交換の前にやる事がありました。古くなってしまった戸車が錆び付いて、両手で力をかけないと開ける事ができなくなっていたのです。
そこで鍵を取り付ける前にこの戸車を交換することにしました。鍵を取り付けた後で戸車を交換すると、左右の戸の高さが変わってしまい、施錠ユニットの位置がずれて影響が出るからです。
交換後にスライドしてみましたが指1本の力で開けられるほどスムーズになりました。これなら年老いた義父も楽に開けられることでしょう。
万能引き違い戸錠の購入
引き違い戸錠を購入する前に確認することは以下の通りです。
- チリ幅(外側と内側のすき間5mm~12mm)
- 設置する部分の厚み(22mm~42mm)
- 設置する部分の幅(幅20ミリ縦110ミリの穴を開けますので木製の場合余裕があった方がいいです)
私の場合、交換する引き戸錠は万能タイプを購入しました。この商品はチリ幅や戸の厚み・幅共に柔軟に適応できるので、アルミサッシから木製まで幅広く対応できます。
ただし、この商品でなくてもアルミサッシ用の方が随分安いので条件を満たせば取り付け可能ですが、サッシ用は錠の位置合わせがシビアで木製引き戸に設置すると錠がかかりにくいなどの不具合が考えられるので注意してください。
特に昔ながらのネジ式錠引き違い戸はチリ幅がほとんど無いのと戸の位置合わせがアバウトなので、今回はこの万能型にしました。(チリ幅が3~4ミリ程度なら、戸車の位置をずらすと確保できます)
いろいろ部品がごちゃごちゃありますが使うものは「外側ユニット」と「内側ユニット」、そして「鍵」と「セットピン」だけです。ライナーと書いてある部品はユニットを取り付ける際の印をつける際にちょっとだけ使用しました。
ライナーは戸の厚みが薄い場合に使用します。
必要な道具を揃える
- プラスドライバー
- 糸のこまたは引廻鋸(ひきまわしのこぎり)
- 木工用ドリル(糸のこの刃が通るまたは引廻鋸が入る太さ)
- 彫刻刀またはノミと金槌
糸のこは、刃を横に変えられるタイプが良いです。ただし、糸のこは時間がかかるのとキレイに切れないので後述の引廻鋸(ひきまわしのこぎり)を検討してください。
内外とも同じ穴を開ける
ライナーという部品を利用して取り付け位置に目印を書いておきます。内側の部分がユニットが収まる部分になるのでそこに穴を開けるため、四隅に糸鋸が入る分の穴を空けます。(約幅20ミリ縦110ミリの穴を開けます)
糸鋸では大変な上にキレイに開けられなかった
糸鋸は切るのに結構時間がかかって大変でした。太めの木工ドリルがあれば大きな穴を開けて引廻鋸(ひきまわしのこぎり)で切った方が時間がかからずに済むでしょう。
外側と内側の両方、同じ位置に同じ穴を開けます。このときなるべく両方の戸がピッタリ閉まっている状態で同じ位置に同じ穴を開けることが重要です。でないと鍵をかけても隙間ができてしまったり鍵が締めにくくなる事もあります。
穴のサイズは少々余裕があっても大丈夫。ユニットを固定するのは穴ではなくユニット上下のビスなので問題ありません。
ユニットを埋め込む
ユニットを取り付けてみるとユニットの金属板が出っ張ってしまいました。このままでは戸の開閉時に両方のユニット同士がぶつかってしまいます。
なので埋め込むように金属板の厚みの分を彫刻刀を使って掘ります。彫刻刀はL字の三角刀と平たい切り出し刀だけ使いました。
これらを外側ユニット、内側ユニットともにやります。もともとネジ式錠はチリ幅(外側と内側の戸のすき間の幅)がなるべく少なくなるように作られているので、少ないチリ幅を確保するためにも是非やっておきたい作業です。
この作業はノミを金槌で強く叩いて作業するとガラスが割れてしまう事がありますのでガラスを外すか、軽く叩いてじっくり掘る必要があります。
セットピンを使って鍵の取り付け
開けた穴の位置がほぼぴったりであれば、後は鍵を取り付けて終了です。
この時に必ず各ユニットの上下を確認しておきましょう。外側ユニットには「MIWA」のロゴがあります。内側ユニットには「開」または「閉」の文字がスライドに付いてあります。
まず外側ユニットを取り付けておきます。次に内側ユニットを取り付けて軽くネジを締めて仮固定し、付属のセットピンという針金を専用の穴に差し込みます。このセットピンで錠の位置合わせができるので必ず差し込んでから動作確認をします。
うまく動作しない場合はユニットの上下が間違えているか、ライナーなどで駆動軸が離れてしまって外れているなどが考えられるのでユニットを確認し、取扱説明書をよく読んで対処しましょう。
これで完成です。この商品はディンプルキーなので通常の山形になっている鍵よりはピッキングされにくく安心です。今回の商品には鍵が5本ついていますので家族にも十分行き渡りました。
所用時間は40〜50分ほど
糸鋸で切るとやたらと時間がかかります。なので太め(1,5cmぐらい)の木工用ドリルで大きな穴を開けて引廻鋸(ひきまわしのこぎり)でザックリと穴を広げ、ノミなどで形を整える方がかなり楽で時間短縮できます。
ユニットより大きめの穴を開けても位置決め後に戸の本体へビス留めして固定するのでグラつくことはありません。
彫刻刀も使う刃はL字形の三角刀と斜めに平たい切り出し刀の2本だけで十分対応できました。
それでも40〜50分ほどで施工が完了します。本格的な道具が揃っていれば30分ほどで完了できるかもしれません。
それとサッシとは違い木製引き戸は位置合わせがしづらく、施錠しにくかったりするのでスペーサーなどを噛ませるなどして位置を合わせやすくする工夫が必要です。
玄関をリフォームするとかなり高額になってしまうので、リフォームするほどでもないと思われるのなら業者さんに鍵だけ交換を依頼するか、もっと安く済ませたいのならDIYに挑戦されてみるのがいいでしょう。
今回のDIYいかがだったでしょうか?
糸鋸はまっすぐ切れす本当に苦労しました。これ以外の道具は子供の頃に使っていた彫刻刀を引っ張り出して使いましたので糸ノコ以外の道具は買い揃えませんでした。
皆様も機会があれば是非チャレンジしてみてください。