ネットを利用したフリーマーケット、通称フリマサイトは、サラリーマンや専業主婦など幅広い方々にちょっとした副業として、脚光を浴びています。
自宅にあった不用な品や自分が使わなくなった物をフリマサイトに売ることは特に問題ありません。
しかし、副業や事業としてリサイクルショップで中古品を購入し、メルカリなどのフリマサイトで転売するには「古物商許可」が必要になります。
もし無許可のまま転売していると3年以下または100万円以下の罰金もしくはその両方(古物営業法第三十一条)が課せられる事があります。
また、購入した中古品を修繕やリメイク(一部改変)して販売したり、分解して部品として販売すること、知人の不用品を代理で出品して手数料をもらうことも同様に古物商の許可が必要です。
今回は、こうした副業として稼いでいらっしゃる方々にあり得る落とし穴への注意喚起として記事にしてみました。
新品と中古の定義:
新品:一度も小売りされていない物(メーカー保証期間が開始していない物)
中古品:一度小売りされた物は未開封・未使用に関わらず中古品になります(メーカー保証期間が経過中又は終了した物、未開封・未使用は新古品とも言われます)
古物商許可が必要なパターン
- リサイクルショップや個人から購入した中古品を販売する(転売)
- リサイクルショップや個人から購入した中古品を修繕・リメイクして販売する
- リサイクルショップや個人から購入した中古品を分解し、部品として販売する
- リサイクルショップや個人から購入した中古品をレンタルして代金を得る
- リサイクルショップや個人から購入した中古品を別の品物と物々交換する
- 自分以外の第三者から商品を預かり代理販売した手数料をもらう
- 国内のリサイクルショップや個人から購入した中古品を海外に輸出販売する
特に、利益を得る目的で継続して上記の行為をする場合は古物商許可が必要になります。
たとえ新品未開封や新品未使用品であっても、扱いは中古品になります。
ただし、次の場合は古物商許可が不要なパターンもあります。
古物商許可がいらないパターン
- 自分が使っていたものを販売する
- 自分が使うために購入したが、使うことなく未使用品として販売する
- プレゼント(無償)でもらったものを販売する
- 自分が海外で買ってきたものを販売する
- メーカーや販売店から新品を購入して転売する
- 古着をバッグに改造するなど、本来の使用用途を変えて販売する
副業が禁止されている公務員でも問題ありませんが、利益を得る目的で大量かつ継続的に行なっていると業務として見なされる事もあるので注意が必要です。
また、このパターンを抜け道として利用しても、副業や事業として利益を得る目的で大量かつ継続的に行なっていると、公安委員会より指摘されるかもしれません。
なので、堂々と中古品を転売したいのなら古物商許可を取ったほうが安心です。(商品を販売店から新品で購入して転売する場合は許可は不要です)
そして、上記のパターン以外に酒類や化粧品などの消耗品も許可は不要ですが、酒類の場合は大量、継続的に取引すると「一般酒類小売業免許」や「通信販売酒類小売業免許」が必要になる場合があります。
また、化粧品は転売自体を禁止している場合も多くありますので古物商許可とは関係のない部分でトラブルを招いてしまう事があります。
フリマサイトの禁止している出品物を把握しておきましょう。
転売によって利益が出たら確定申告が必要なことも
もう一つ注意すべきことは、フリマによって得た所得が高額な場合は確定申告が必要になるということです。
副業で年間20万円以上(雑所得)、本業として年間48万円以上(事業所得)の場合、確定申告が必要です。
また、上記に当てはまらない不用品の処分でも50万円以上の高額な取引をした場合は同様に譲渡所得として確定申告が必要になることがあります。(利益が50万円までは特別控除で税金は発生しません)
確定申告は法律上逃れられない制度ですので、無申告と合わせて古物商無許可販売で摘発というダブルパンチに合うことも考えられます。
不安な方は税理士さんにご相談されることをお勧めします。
そもそも、なぜ古物商許可が必要か?
つまり、犯罪を防ぐための法律です。そのため仕入れた商品の出所について関係機関から問い合わせが来た場合は速やかに、正確に、情報提供する事が求められます。
また、情報提供を拒んだり虚偽の情報を伝えた場合は重い刑罰が課せられます。
古物商許可は13品目
古物商許可の申請を行う際は、下記の13品目から取り扱う品目を1つ選択します。また、申請時にメイン以外の複数の品目を選択することも可能ですが、その分調査の対象も増えます。
品目 | 品目の一例 |
---|---|
美術品類 | 絵画・彫刻・骨董品・工芸品など美術的価値のあるもの |
衣類 | 洋服・着物・帽子・布製品・布団など |
時計・宝飾品 | 時計・眼鏡・宝石・装飾具・貴金属・コンタクトレンズ・オルゴールなど |
自動車 | 自動車本体・自動車パーツ・タイヤ・カーナビ・サイドミラーなど |
自動二輪車・ 原動機付自転車 | 自動二輪車本体・原動機付き自転車・自動二輪車パーツ・原動機付き自転車パーツ・タイヤ・エンジンなど |
自転車類 | 自転車本体・自転車パーツ・かご・空気入れなど |
写真機類 | カメラ・カメラレンズ・ビデオカメラ・望遠鏡・双眼鏡など |
事務機器類 | パソコン・ワープロ・コピー機・シュレッダー・タブレットなど |
機械工具類 | 工作機械・土木機械・医療機器類・家庭電化製品・電話機・スマートフォンなど |
道具類 | 家具・楽器・CD・DVD・おもちゃ・ゲームソフト・スポーツ用品・充電器・USBメモリーなど |
皮革・ゴム製品類 | バッグ(ブランド品)・靴・毛皮類・化学製品など |
書籍類 | 文庫・コミック・雑誌など |
金券類 | 商品券・航空券・郵便切手・収入印紙・テレホンカード・株主優待券・コンサートチケット※など |
古物商許可を得るには下記に該当していない事が条件です。(古物営業法第四条)
- 破産後に復権をしていない
- 犯罪歴があり刑期を終えて5年を経過していない
- 反社会的勢力である
- 営業所が無く住居が不定である
- 古物営業の許可を取り消されてから5年を経過していない
- 国家公安委員会規則(成年被後見人)で定める心身の病気により適正な業務ができない
- 18歳未満である(古物商の相続人でその法定代理人が上記の1〜6に該当しない者を除く)
- 法人であっても上記1〜6のいずれかに該当する
- 公務員である
- 外国籍で適切な在留資格を持っていない
営業所は取引の事務作業を行う拠点となる場所です。管理者を常駐させ、古物台帳の備え付け、古物商プレートの掲示が必要です。
もし自宅を営業所にする場合、自宅が賃貸物件なら賃貸人や管理会社からの使用承諾が必要となります。
保管だけの倉庫や事務作業のできない場所、実態のないバーチャルオフィスは営業所に出来ません。
また、古物商許可申請において、インターネットサイトを用いて古物営業を営む場合には、URL(アドレス)を届け出なければならない場合があります。
ネットオークションサイトでアカウントを作成し、古物取引を行う場合も同様です。
せっかく許可を取っても取り消しになるなら
注意すべきは、せっかく許可を取得しても、6ヶ月を過ぎて古物営業を開始しない場合や、古物営業を6ヶ月以上休眠したまま再開しない場合は、「許可の取消し」となる点です。(古物営業法第6条)
また、古物商許可の名義を他人に貸し出すこと(名義貸し)は違法であり、同様に「許可の取り消し」になります。
しかも取り消しになると、取り消し後5年間は再取得できないので注意が必要です。
なので、一時的な取引に留まるのなら許可のいらない「自分が使っていたものを販売する」「自分が使うために購入したが、使うことなく未使用品として販売する」という範囲で販売すれば良く、わざわざ古物商許可を取るまでには及ばないと思います。(一時的でも大量の出品や商品と関連した事件があった際は警察署からお伺いがあるかもしれません)
古物商許可の品目組み合わせ一例
何を扱うかを予め警察署に登録しておくために選ぶ必要があります。取り扱う予定のあるメインの品目を1つ(申請書:別記様式第1号その1に記入)を選びましょう。
メイン以外の品目(営業所情報:別記様式第1号その2に記入)はいくつ選んでも構いませんが、盗難事件があった際は選んだ品目について警察署から情報提供(品触れ)など捜査協力の要請が来ます。
中古スマホに合わせて関連の中古ガジェットも扱いたい
スマートフォンをメインの品目に、タブレットやスマホケース、充電器などの関連する商品も扱うならこの3品目。
古着と共にアクセサリーやバッグ、靴もラインナップしたい
衣類をメインの品目に、アクセサリーや靴はそれぞれ別の品目になります。ただし、古着をバッグにリメイクするなど使用用途が全く変わってしまう場合は古物商許可の必要はありません。
古物商許可を申請するなら
古物商の許認可申請にはfreee許認可を使うと、自分で、しかも無料で出来てしまいます。(無料なのは申請書作成までで、申請時に19,000円ほど手数料が掛かります)
不安な方は行政書士などの専門家にご相談ください。(専門家に依頼する場合は別途依頼料が掛かります)
また事業として開業を目指すならfreee開業もオススメです。
個人で古物商許可を取得し、その後法人成りした場合は、法人でも古物商許可を取得する必要があります。
まとめ
副業ブームで初心者にも参入しやすい転売やせどりが注目されていますが、知らず知らずのうちに法を犯してしまっているかもしれません。
今回は事業としてやっている事が、実は違法行為だった事にならないようにと投稿させていただきました。
罰則は非常に重いものです。あなたやあなたの知人が、うっかり違法行為をしてしまってるかもしれません。
そして、もし見かけたら注意してあげてください。