このお話は私が脱サラする前のお話。勤め先の会社が騒音の発生源でもないのに近所の人から訴訟を起こされかけたお話です。※プライバシー保護のため一部フィクションが含まれます。
近所の人から騒音について会社が訴えられそうになる
ある日、夜中の騒音が原因で会社が訴えられるかもしれないという話を聞いた。夜中に会社のビルからひどい騒音が聞こえてくるそうだ。
初めて聞いた時は何かの間違いじゃないかと思った。
と言うのも基本的に作業は屋内でパソコン作業、空調は整っているので窓は閉め切っていて大きな騒音を出す機械すら無いからだ。
そうなると、ただ一つ思い当たるのは空調の室外機。
大きな室外機が屋上にいくつも設置されていたので、そのうちのどれかが故障して騒音を出しているかもしれないという話になった。
なのでしばらく夜間は空調を使わないよう社員にお達しが来た。
幸い、季節的に肌寒いぐらいで何とかなるので良かった。
騒音の調査
それから数日して、空調室外機の点検前に騒音がどれほどのものかを調査することになった。
自社ビルなので会社の全ての空調をフル稼働し、騒音レベルの調査も兼ねて故障していると思われる室外機を探した。
でも該当する室外機は見つからなかった。
数時間フル稼働していても、一向に騒音の基準にすら達しない。
空調のメンテナンス会社も、騒音を調査する人も首を傾げていたし、それどころか聞いていた騒音の特徴が一致しなかった。
その騒音の特徴というのが「キーーーーーーン」という金属音らしい。
そのご近所さんはこの甲高い音が耳障りで夜も眠れないので訴えるとのことだった。
次々と不思議なことがわかってくる
色々と調べていくうちにいくつも不思議な事がわかってきた。
- 訴えてきているのはそのご近所さんだけで、当の会社も他のご近所さんも騒音に心当たりはない
- 音は常に鳴り続けるのではなく発生するタイミングや長さはランダム
- そのご近所さんとは道路と駐車場を越えて50mほど離れている
- 騒音がひどい時間帯は夜中の8時ごろから12時ごろに集中している
- 会社の休業日関係なしに毎日音が聞こえる
周辺一帯のではなく特定のご近所さんだけであることで、最初は嫌がらせかと疑っていたが、お相手は診断書も用意して訴える気満々であり、下手な回答は状況をさらに悪化させるだけだ。
ある日突如として原因が判明する
そんなこんなで悶々とした日々の中、たまたま同僚10人ぐらいで居酒屋に行くことがあった。
その日は終電を逃してしまったので皆会社に泊まることになった。
しばらく酔い覚ましに会社前で夜風に当たりながら皆で談笑していたところ、突如どこからともなく「キーーーーーーン」という金属音が聞こえて来た。
全員が「あっ!!!!」という表情になった。
そして金属音のところへ辿ってみると、そこにはマンションの大きな給水設備があった。
つまりキーーーーンという音は水道の蛇口をひねると鳴る事があるあの金属音だった。
蛇口の止水弁が劣化したり汚れたりすると鳴るそうだ。
また急に水を止めたりするとウォーターハンマー現象で鳴ることもあるらしい。
それが大きなマンションの大きな水道設備ともなれば、鳴る音もどおりでデカいはずだ。
これだ!こいつが原因か!と皆は安堵して喜んだ。後日すぐに責任者へこの事を報告した。
不思議だった現象もこれで納得
これで不思議だった現象も納得のいく解答ができた。
- 訴えてきているのはそのご近所さんだけで、当の会社も他のご近所さんも騒音に心当たりはない
- 音が会社のビルに反射して特定の位置に収束するので、会社も他のご近所さんも音は気にならなかった。
- 音は常に鳴り続けるのではなく発生するタイミングや長さはランダム
- 水道の使用量に応じて水道設備が稼働するので不定期になる
- そのご近所さんとは道路と駐車場を隔てていて50mほど離れている
- たまたま条件が重なり反射した音が収束する位置にそのご近所さんが住んでいた
- 騒音がひどい時間帯は夜中の8時ごろから12時ごろに集中している
- その時間帯は入浴などでマンション住民の水道使用量が増加し、水道設備がフル稼働する時間帯
- 会社の休業日関係なしに毎日音が聞こえる
- 水道を使うのは毎日なので会社の休日は関係ない
また、ご近所さんと発生源の間に一戸建てが立ちはだかって直接音は届かず、反射してきた音のみ届いたのでご近所さんからすれば騒音の発生源は会社のビルにしか思えなかったようだ。
また、発生源のすぐそばにあるマンションや一戸建ては窓のほとんど無い壁になっていて、直近の住民は騒音の被害に遭っていなかった。
すぐにそのマンションの管理人に連絡し、水道設備の点検整備をお願いしたところそれ以来騒音はピタリと止み、お陰で訴えられることも無くなって事なきを得たのでした。
騒音トラブルはよく耳にしますが、発生源でもないのに訴えられたら溜まったもんじゃないと思います。こうした事例はよくありそうなので、記事にしてみました。参考になれば幸いです。